ミヤマクワガタが減っている?全国の生息地と長野県の現状、高額取引の実態まで

ミヤマクワガタが減っている?全国の生息地と長野県の現状、高額取引の実態まで

かつて夏の風物詩として、全国の子どもたちに親しまれてきたミヤマクワガタ。その勇ましい姿と立派な大あごに、憧れを抱いた方も多いのではないでしょうか。

ところが、最近では「全然見かけなくなった」「山に行っても採れない」という声が全国的に聞かれるようになりました。

この記事では、ミヤマクワガタの全国での生息状況をふまえ、私の地元長野県の具体的な現状、そして驚くような高額取引の実態まで、親しみやすくご紹介していきます。


ミヤマクワガタってどんな昆虫?

まずは簡単に、ミヤマクワガタの特徴を振り返りましょう。

ミヤマクワガタの基本データ
分類 コウチュウ目 クワガタムシ科
体長 オス:40〜75mm / メス:30〜45mm
活動時期 6月下旬〜8月中旬
特徴 大あごが湾曲し、体に黄褐色の毛が生える。涼しい場所を好む。

見た目がゴツく、ノコギリクワガタやコクワガタに比べても存在感があり、男の子の「憧れの虫」ランキングではいつも上位にいる存在です。


どこに生息しているの?ミヤマクワガタの分布

ミヤマクワガタは日本全国に分布していますが、場所によって見かけやすさに差があります。

ミヤマクワガタの主な生息地と傾向
地域 生息状況の傾向
北海道 比較的個体数が多い。冷涼な気候が合っている。
東北地方 山間部を中心にまだ見られる。林道や広葉樹林での目撃が多い。
関東・中部地方 標高の高い山間部に限られる。都市周辺ではほぼ見られない。
関西・中国・四国 涼しい地域や山地でのみ確認される。平地では激減。
九州 南部では特に減少傾向が顕著。気候の変化により減っている。

このように、全国的に冷涼で標高の高い地域を好む傾向があり、気温上昇にともなって生息地が山奥へと移動していることが分かります。


長野県の現状:昔は身近、今では“幻の昆虫”

ここで、私の地元である長野県の状況を具体例としてお話しします。

1990年代、私が子どもだった頃は、家の近くやちょっとした林道、公園の街灯などにもクワガタが来ていました。 ミヤマクワガタも、特別レアという印象はなく、夜にちょっと探せば見つかったものです。

ですが、現在では:

  • 標高1000m以上の山地でなければ見られない
  • 日中30℃を超えるような日はまったく活動しない
  • 山道ではツキノワグマとの遭遇リスクがあり、採集も慎重に

「危なくて簡単には探しに行けない」というのが今のリアルな状況です。


なぜ減っているのか?全国的な減少の要因

ミヤマクワガタが全国的に減っている理由は、いくつかの要因が組み合わさっています。

① 地球温暖化

最大の要因とされるのが気温の上昇です。ミヤマクワガタは涼しい環境を好むため、平地の高温に耐えられず、より高い標高へ追いやられていると考えられています。

② 生息地の破壊・減少

開発や伐採などにより、クヌギ・コナラなど広葉樹林が減っており、産卵場所や樹液の出る木が失われているのも大きな要因です。

③ 捕獲・販売の影響

全国で昆虫イベントやネット販売が増える中、採集者による乱獲も問題に。中には地域の自然公園で捕まえ、無断で販売するケースも。


実は高額?ミヤマクワガタの市場価格

「クワガタなんてそのへんにいる虫じゃないの?」と思っている方も多いかもしれませんが、ミヤマクワガタは立派な商材です。

ネット販売での価格帯(2025年7月時点)
サイズ 価格帯
60mm未満 800〜1500円
60〜70mm 2000〜4000円
70mm以上 5000〜10000円超

大型個体ほど価値が高く、状態が良いものはコレクター需要があるため、販売目的で山に入る人も少なくありません。

しかし、採集が禁止されている場所も多く、法律的な問題や生態系への影響も無視できません。


今でも出会える場所は?全国のおすすめスポット

全国的に減っているとはいえ、条件がそろえばまだ出会える可能性はあります。

  • 標高800〜1500mの広葉樹林(クヌギ・ミズナラなど)
  • 山間部の街灯、自動販売機の灯り
  • 林道沿いの倒木や樹液ポイント

特におすすめなのは、キャンプ場や自然教育林の周辺です。涼しくて整備されており、安全に探索できる場所も増えています。

ただし、ツキノワグマなど野生動物のリスクがある地域では、必ず大人が付き添い、鈴やクマよけスプレーなどの対策を忘れずに。


まとめ:ミヤマクワガタは自然のバロメーター

ミヤマクワガタは、かつては子どもたちの夏の相棒でしたが、いまでは自然の豊かさを示すバロメーターのような存在になっています。

環境が整っていなければ生きていけない繊細な昆虫だからこそ、その減少は私たち人間の生活ともつながっているのかもしれません。

親子で虫取りを楽しむ際も、ただ「捕まえる」だけでなく、自然や命に対する敬意を持って向き合いたいですね。

そして、もし本物のミヤマクワガタに出会えたら、それはきっと一生の思い出になることでしょう。

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